任意整理とは
任意整理はいくつかある債務整理方法のうちの一つです。
債務整理には
任意整理とは、債務(借金)を整理する方法の一つで、弁護士(または司法書士)が債権者と借金の内容について交渉をします。
任意整理でできること
・借金(総額や毎月の返済額)の減額
・分割払いにする
・一部の借金だけ選んで整理する
・過払い金を請求する
任意整理とは、司法書士が債権者と交渉をして、将来利息のカットや長期分割弁済などの和解を成立させ、支払いを楽にする手続きです。
すべての債務整理の手続きの中で、最もよく利用されるのが、この任意整理の手続きです。
利息制限法の上限利率を超える利息の契約がある場合には、利息制限法による引き直し計算を行い、過去に払い過ぎている利息を元本に充当して債務を減らします。
そして、将来の利息はカットして長期分割払いをするという交渉や、一括返済するので債務を減額して欲しいというような交渉をしていきます。
将来利息のカットについては、ほとんどのケースで可能ですが、一括返済による元金の減額ができることは、あまり多くはありません。
多額の遅延損害金が発生しているケースで、一括返済によって遅延損害金を減額または免除してもらえることはありますが、元本まで減額してもらうのは、通常は難しいです。
裁判所は関与しませんので、自己破産や個人再生の場合のように、裁判所に提出する書類を用意していただく必要はありません。
個人で任意整理の交渉をしようとしても、金融機関はまず受け入れてくれません。信頼できるプロに任せるのが安心です。
どうして減額できるの?
任意整理をすると、借金の総額が減額されるのはなぜでしょうか。
これには、金利の上限を定めている『利息制限法』と『出資法』という2つの法律が関係しています。
任意整理で借金の総額が減額される仕組み
利息制限法では、金利の上限を15~20%と定めています。20%を超える金利で契約を交わしても、超えた分は法律上無効となるとされています。
いっぽう、貸金業法が改正されて完全施行される以前は、利息制限法と出資法に矛盾がありました。以前の出資法では、刑事罰の対象となる金利が29.2%となっており、これを超えると刑事罰に科せられますが、29.2%までの金利であれば刑事罰にはならず、利息制限法の上限(15~20%)が守られていない側面があったのです。
このように、利息制限法と出資法それぞれの上限金利の中間にあたる金利は、民法上は無効にもかかわらず刑事罰は科せられないため『グレーゾーン金利』と呼ばれていました。昔の貸金業者は、このグレーゾーン金利による違法な利益を得ていたのです。
任意整理では、取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算し、返済し過ぎていた金利分を元本に充当させ、法律上返済しなければならない「本当の借金の額」を明らかにします。原則としてこの引き直し計算後の元本のみを分割返済していくことになります。
そのため、任意整理をすると、これまで返済し過ぎていたグレーゾーン金利に相当する金額が減額されることになるのです。
また、これまで返済してきたグレーゾーン金利に相当する金額を借金の元本に充当すると、すでに元本を超えて返済している場合があります。この返済し過ぎたお金のことを『過払い金』といいます。
過払い金が発生している場合には、貸金業者に過払い金の返還請求ができます。
この返還請求の手続きをしないと黙っていてもお金は戻ってきません。
現在では出資法の上限金利が年20%に引き下げられているため、出資法と利息制限法の上限金利は統一され、矛盾は解消されています。これによりグレーゾーン金利は廃止されたことになり、貸し手は20%を超える金利をとると刑事罰に科せられます。